化学品の市場調査、研究開発の支援、マーケット情報の出版

- 地産地消と地域活性 -
表紙
 
               ■ 発  刊:2013年11月22日
               ■ 定  価:50,600円(税込)
               ■ 体  裁:A4判ソフトカバー 200頁
               ■ 発  行:S&T出版
                 ISBN 978-4-907002-26-8

購入方法

 カートへの投入、あるいはFAX申込用紙にてお申込ください。

   FAX申込用紙PDF 

推薦のことば

『バイオマス・廃棄物発電によるエネルギー利用の最前線と課題-地産地消と地域活性-』を推薦する
 2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所の大事故以来、社会的、政治的、経済的等、立場の違いによって原発の将来に関する意見の相違は見られるものの、その占める地位の低下は疑いを入れる余地がないといえるであろう。
 さて、この原発事故以前から再生可能エネルギーの利用は、地球温暖化防止に向けて、その推進が求められてきたわけであるが、事故後その重要性は格段に増したといわなければならない。持続可能社会の3つの側面は、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会であり、これらが調和をもって実現されなければならないことはわが国におけるコンセンサスの一つであるといってよい。
 この大事故によって痛い体験をしたわれわれは、供給面のみならず需要面にも注意してエネルギー問題に取り組まなければならない。原発に依存せずに地球温暖化防止をはかり、なおかつ国民福祉を後退させないためには、省エネルギーと再生可能エネルギーの一層の推進が進められなければならない。そのためにも、この問題を一部の専門家に任せるのではなく、豊富な知識をもって正しい判断ができるようにしておくことが切に望まれるところである。
 幸いに本書はエネルギー問題を取り巻く状況、将来展望にはじまり、現状の社会制度にも目を配った上で、バイオマス・廃棄物起源の再生可能エネルギーの利用について、その展開、課題について、技術はもとより制度やビジネスモデルに至るまで記述されており、専門家はもとより一般の方々にも読みやすいものとしてよくまとめられている。この書が多くのエキスパートの協力のもとに出版されることができたのは、この分野に注がれている吉葉正行教授の情熱と、先生がリードして2010年から今日まで運営されてきた「環境-エネルギーフォーラム」の成果があったればこそと考えている。
 一人でも多くの方がこの書を読まれ、正しい認識と意見をもたれるようになることを期待するものである。

                    京都大学名誉教授 工学博士 武田 信生
 

 

著 者

吉葉 正行  首都大学東京大学院
大谷 智一  みずほ情報総研㈱
川辺 豊明  サミットエナジー㈱
千歳 昭博  東京エコサービス㈱
堀尾 正靱  龍谷大学(東京農工大学名誉教授))
前田 雅之  フルハシEPO㈱
齋藤 大輔  グリーン・サーマル㈱
滝澤 誠   グリーン・サーマル㈱
伊藤 一芳  住友重機械工業㈱
横山 亜希子  荏原環境プラント㈱
竹口 英樹  ㈱タクマ
鈴木 康夫  JFEエンジニアリング㈱
笹内 謙一  中外炉工業㈱
熊崎 実   筑波大学名誉教授
朝野 賢司  (一財)電力中央研究所
小川 幸正  ㈱大林組
山形 成生  ㈱神鋼環境ソリューション
森  豊  メタウォーター㈱
盛下  学  水ing㈱
井上 侑香  JFEエンジニアリング㈱
宮西 弘樹  コーンズ・アンド・カンパニーリミテッド
藤吉 秀昭  (財)日本環境衛生センター
長田 守弘  新日鉄住金エンジニアリング㈱
古林 通孝  日立造船㈱
田口 彰   ㈱タクマ
成瀬 克利  荏原環境プラント㈱
黒岡 達男  ㈱神鋼環境ソリューション
 

 

目 次

目次一覧PDF
第1章 総論 環境-エネルギー問題と廃棄物・バイオマス発電
1. はじめに ~環境-エネルギー問題と日本~
 1.1 背景と現状認識
 1.2 将来展望
2. 廃棄物・バイオマス発電の温故知新
 2.1 廃棄物・バイオマス発電導入促進の歴史的検証
 2.2 再生可能エネルギー供給における廃棄物・バイオマス発電の位置付け -問題の根源を探る-
 2.3 高効率廃棄物発電の推進に向けた「環境-エネルギーフォーラム」から見えてくるもの
3. 廃棄物・バイオマス発電の将来展望と課題
 3.1 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)における廃棄物・バイオマス発電
 3.2 防災インフラ拠点としての廃棄物発電施設
4. おわりに ~日本の新たなる発展のために~

第2章 FIT制度と木質バイオマス発電事業の採算性
1. バイオマス発電とは
2. 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)とは
3. 木質バイオマス発電の収益性
4. 事業化に向けたポイント

第3章 RPS制度からFIT制度への移行とバイオマス発電事業の課題
1. RPS制度下でのバイオマス発電
2. FIT制度下でのバイオマス発電
3. FIT制度を活用したバイオマス発電所の企画・立案での課題

第4章 新電力事業者からみた廃棄物発電事業のポイント
1. 電気事業者からみた廃棄物発電の評価
 1.1 特徴
 1.2 課題
2. 市町村など自治体からみたメリットとリスク
 2.1 自ら単独もしくは共同で新電力事業を行う場合のメリット
 2.2 自ら単独もしくは共同で新電力事業を行う場合のリスク
 2.3 自ら単独もしくは共同で新電力事業を行う場合のリスク回避策
3. 適正な事業規模の想定
 3.1 需要過少型
 3.2 需要過大型
4. 新電力事業の経営安定に向けて
 4.1 需要調査と低負荷率需要家の選定
 4.2 販売先と販売価格
 4.3 清掃工場(電源)が単独の場合と複数の場合の留意事項
5. 新電力事業の採算性向上を目指して

第5章 木質バイオマス発電システム
第1節 木質バイオマス発電の原理と特徴
1. 木質バイオマス発電の特徴と種類
 1.1 木質バイオマス発電の条件
 1.2 木質バイオマス発電の種類
2. 中規模バイオマス発電の原理と特徴
 2.1 自立型中規模バイオマス発電の種類
 2.2 非自立型中規模バイオマス発電の可能性 
3. 小規模バイオマス発電の原理と特徴
 3.1 バイオマスガス化発電
 3.2 スターリングエンジン発電
第2節 木質バイオマス発電事業者の視点
〔1〕 国内木質資源コストの課題と対応
1. 国産材価格の推移と社会的背景
2. 住宅着工戸数の推移
3. 国産材の生産コスト
4. 日本の林業・木材産業と諸外国の比較
5. 木質バイオマスのコスト
6. FIT創設前に稼働した国内最大規模のバイオマス発電
7. 国内木質資源コストの課題
〔2〕 木質バイオマス燃焼発電システムの実施例
1. 山元に設置するバイオマス発電の重要性
 1.1 バイオマス発電事業の目的
 1.2 山林未利用材を適切に活用するには
 1.3 送電網で供給する発電事業の長所
 1.4 山側でのバイオマス発電システムの必要性
2. グリーン発電会津河東発電所について
3. 課題と展望
第3節 木質バイオマス燃焼発電システム
〔1〕 循環流動層ボイラ技術によるバイオマス・廃棄物燃料の発電利用
1. 循環流動層ボイラ技術
2. バイオマス・廃棄物系燃料の燃料特性
 2.1 建設廃材系木質バイオマス燃料
 2.2 森林系未利用木材
 2.3 海外輸入バイオマス
 2.4 廃タイヤ燃料(非バイオマス)
 2.5 廃プラスティック系燃料(RPF:非バイオマス)
 2.6 農業系バイオマス燃料
 2.7 その他 一般廃棄物・下水汚泥
3. バイオマス・廃棄物系燃料の発電利用への課題と対策
 3.1 高効率利用へのアプローチ
 3.2 安定運転・操業へのアプローチ
4. ビジネスモデル
 4.1 FIT法対象モデル
 4.2 自家発・電力小売モデル
〔2〕 内部循環流動床式バイオマスボイラ
1. 内部循環流動床ボイラ
 1.1 概要
 1.2 内部循環流動床ボイラの構造
 1.3 内部循環流動床ボイラの熱回収メカニズム
 1.4 納入実績
2. 内部循環流動床ボイラによる木質バイオマス発電
 2.1 木質バイオマス発電における留意点
 2.2 ICFBの特長
3. 木質バイオマス発電所運転事例
 3.1 発電所概要
 3.2 システムフロー
 3.3 熱電併給時の制御安定性
 3.4 運転実績
4. 今後の展望
〔3〕 木質バイオマス燃焼発電システム -ストーカ燃焼方式-
1. ストーカ燃焼方式
2. 傾斜水冷ストーカ
3. 逆送移床ストーカ
4. 空気式散布装置
5. 木質バイオマス発電実施例
 5.1 概要
 5.2 本プラントでの課題とその対応
第4節 木質バイオマスガス化発電システム
〔1〕 アップドラフト式木質バイオマスガス化炉
1. アップドラフト式木質バイオマスガス化システムの特長
 1.1 アップドラフト式ガス化炉
 1.2 高いエネルギー効率
 1.3 シンプルな機器構成
 1.4 木質原料の条件
2. ガス化発電システムの概要
 2.1 ガス精製設備
 2.2 タール含有排水処理設備
 2.3 発電システムの実施例
3. 化石燃料代替用ガス化炉としての実施例
4. バイオオイルとしての重質タール増産
〔2〕 ロータリーキルン式ガス化炉
1. ロータリーキルンとは
2. ガス化炉としてのロータリーキルン
3. ロータリーキルンガス化炉設計上の留意点
 3.1 処理能力と充填率
 3.2 滞留時間
4. ロータリーキルンを使用したガス化発電システムの例
第5節 木質バイオマス発電の将来に向けて
〔1〕 進歩する木質バイオマスの燃焼技術~中小規模のボイラ燃焼システムを中心に~
1. 木質燃料の約8割は熱供給に向けられている
2. バイオマスによる熱供給なら化石燃料と対抗できる
3. 木質燃料のチップ化,ペレット化,トレファクション
4. 改善著しい木質焚きボイラの性能
5. 最新のバイオマスボイラの仕組み
6. 目指すべきは分散型熱電併給
〔2〕 FIT制度における木質バイオマス発電の買取価格に関する考察
1. FITとは何か
2. 木質バイオマス発電のFIT制度設計における論点
3. FIT買取価格の設定方法
 3.1 FITにおける内部収益率の考え方
 3.2 調達委で議論された木質バイオマス発電のキャッシュフローと問題点
4. 買取価格以外の論点
 4.1 設備投資等の他の補助金との重複問題
 4.2 不透明な未利用材チップ価格
 4.3 設備投資補助金とチップ価格を補正した場合の買取価格

第6章 メタン発酵発電システム
第1節 メタン発酵発電システムの原理と特長
1. メタン発酵の原理と種類
 1.1 メタン発酵の原理
 1.2 メタン発酵の各種方式
 1.3 日本のメタン発酵施設の現状
2. メタン発酵発電のプロセス
 2.1 メタン発酵発電のプロセス
 2.2 メタン発酵の原料とプロセスの特長
3. バイオガス発電
 3.1 バイオガスの性状
 3.2 バイオガスの利用用途
 3.3 バイオガス発電
 3.4  FIT制度とバイオガス発電
4. メタン発酵発電施設の例
5. メタン発酵の特長と期待
 5.1 メタン発酵の特長と発電量の期待
 5.2 メタン発酵普及への課題
 5.3 メタン発酵発電とエネルギー利用・肥料利用への期待
第2節 各社のメタン発酵発電システム(発酵,ガス精製など)
〔1〕 メタン発酵の運転管理指標と「バイオ天然ガス化」
1. メタン発酵施設
 1.1 特長
 1.2 実績
 1.3 日田市バイオマス資源化センター
2.  「バイオ天然ガス化」施設
 2.1 特長
 2.2 精製原理
 2.3 実績
〔2〕 高速メタン発酵システムと発電の工夫
1. 高速メタン発酵システム
 1.1 担体充填型発酵槽
 1.2 アンモニア濃度制御
 1.3 投入負荷量制御
 1.4 各種廃棄物での分解性能
2. 発電装置
 2.1 ロータリーエンジン発電装置
 2.2 ハイブリット燃料電池
〔3〕 黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業の紹介
1. 黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業の概要
 1.1 はじめに
 1.2 事業の概要
2. 施設の特徴
 2.1 メタン発酵設備(下水道汚泥と他バイオマスとの混合消化)
 2.2 マイクロガスタービンによるバイオガスの効率的利用
 2.3 足湯(バイオマス事業体感施設)
〔4〕 新しい生ごみメタン発酵発電システム事業について
1. 長岡市における「生ごみを利用したバイオガス化プラント事業」
2. 施設概要
 2.1 施設概要
 2.2 処理工程
3. 施設の特長
 3.1 ダイナミキサー BB(竪型2段インペラ式攪拌機)
 3.2 生物脱硫設備
 3.3 ガスエンジン発電設備

〔5〕 畜産廃棄物によるメタン発酵発電システム
1. システムの概要
2. FIT制度を受けた新たな取り組み

第7章 廃棄物による発電システム
第1節 廃棄物による発電システムの現状と課題
1. 廃棄物発電とは
 1.1 廃棄物焼却発電
 1.2 RDF発電
 1.3 熱分解ガス発電
 1.4 メタン発酵ガス発電
 1.5 埋立て地ガス発電
2. 廃棄物系バイオマスの処理状況
 2.1 一般廃棄物(ごみ)の処理状況
 2.2 産業廃棄物の処理状況
3. 廃棄物発電の現状
 3.1 ごみ(一般廃棄物)発電の状
 3.2 産業廃棄物発電の現状
4. わが国の廃棄物処理政策の経緯
 4.1 一般廃棄物分野
 4.2 産業廃棄物の分野での熱回収への取り組み
5. 課題
 5.1 廃棄物処理の優先順位
 5.2 物質循環と低炭素化(容器包装リサイクル法とごみ発電)
 5.3 食品リサイクル法とメタン発酵
 5.4 ごみ焼却とメタン発酵のコンバインド化
 5.5 廃棄物発電におけるエネルギー変換効率の向上
 5.6 これからのあるべき姿:廃棄物発電地域エネルギーネットワーク構想
第2節 廃棄物焼却炉・ガス化溶融炉システムにおける高効率発電の技術動向と課題
1. 廃棄物発電技術に関する歴史的検証
2. 将来展望と課題
第3節 各社の廃棄物焼却炉,ガス化溶融炉による発電
〔1〕 シャフト炉式ガス化溶融炉による高効率発電
1. シャフト炉式ガス化溶融炉の特長
2. 発電効率に影響する技術要因分析
 2.1 発電効率向上に資する技術要因
 2.2 各技術要因の影響評価
3. 発電効率向上技術の実機適用事例
 3.1 高温・高圧ボイラの採用事例
 3.2 水冷式復水器等の改善技術の実機適用事例
〔2〕 高効率廃棄物発電とコスト低減への取り組み
1. 低空気比・低NOx炉への挑戦
2. 無触媒脱硝の高度化
3. カセイソーダ噴霧の適用による高効率有害ガス除去装置
4. ガス化溶融炉におけるボイラの高温化と実施例
5. ごみ処理施設の標準化の推進
6. 標準化シリーズの発展
 6.1 基本仕様の進化
 6.2 客先ニーズに合わせた設計
7. NIMBY施設の脱却~防災拠点の中心施設としての清掃工場
〔3〕 ストーカ炉における高効率発電技術
1. 燃焼装置
2. 自動燃焼制御
3. 熱回収技術
 3.1 高温高圧ボイラ
 3.2 低温エコノマイザ
4. 排ガス処理技術
 4.1 高効率無触媒脱硝
 4.2 高性能乾式排ガス処理
〔4〕 各種焼却炉における燃焼装置およびボイラ技術
1. 一般廃棄物処理施設
 1.1 燃焼装置
 1.2 ボイラ
2. 産業廃棄物処理施設
 2.1 燃焼装置
 2.2 ボイラ
3. 今後の動向
 3.1 燃焼装置
 3.2 ボイラ
〔5〕 流動床式ガス化溶融炉と高効率発電の取り組み
1. 流動床式ガス化溶融炉の概要
 1.1 流動床式ガス化溶融炉の特長
 1.2 システムフロー
 1.3 流動床式ガス化炉の構造
 1.4 旋回溶融炉の構造
2. 実績炉の状況
 2.1 稼働実績
 2.2 施設の安定性
 2.3 溶融スラグ品質と溶融飛灰性状
 2.4 エネルギー回収性
〔6〕 流動床式ガス化溶融炉による高効率発電技術と工夫
1. 流動床式ガス化溶融炉の納入実績および特長
2. 安定運転実績とそれを支える技術
 2.1 安定したガス化
 2.2 溶融炉での安定出滓
 2.3 クリンカ・ダスト付着対策
3. 発電高効率化のための設備面での取り組み
 3.1 低空気比高温燃焼
 3.2 テールエンドボイラ
 3.3 高効率乾式排ガス処理
 3.4 排水リサイクルシステム
4. 余剰電力量増加のための操業面における取り組み
 4.1 取り組み内容
 4.2 改善効果