■ 発 刊:2015年10月1日 ■ 定 価:49,500円 + 税 ■ 体 裁:B5版 並製本 230頁 ■ 発 行:R&D支援センター ISBN 978-4-905507-11-6 |
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著 者
松本技術士事務所 代表 技術士 (経営工学) 松本 宏一 氏
【略歴】
1945年愛媛県今治市出身。
1968年千葉工業大学工学部工業化学科卒業。同年、カイト化学工業㈱入社。各種ラミネート加工技術、周辺技術の開発、事業化およびプラスチック複合材料の研究開発に従事。
1984年よりラミネート加工技術および周辺技術の海外技術輸出、生産・工程・品質管理技術の指導を担当。
1994年住友重機械工業㈱に移り、国内外のコンバーターの生産・加工技術の指導に従事。
2002年技術士事務所を開設、現在に至る。
趣 旨
ここでラミネーティングの位置づけは、コンバーティング加工技術の中の一つであり、一連のモノづくりの流れの一工程に過ぎない。個々の固有技術の集まりから製品が作られて行く。
モノづくりをしている生産現場では、工程が多くなるとこれにつれて不具合、ロスの増加を抱えている現場が多く見受けられる。
原材料を投入して目的に合う具体的な製品を作り上げる、これは各工程全てに言えることで、それぞれの工程で共有するルールを確実に守り、作り上げて行くのである。当然、再現性が求められ、それには生産・製造技術、生産技能、経験とコツ(ノウ・ハウ)の蓄積が要求される。即ち「生産技術」と「良いモノが作れる方法・やり方」が確立され、この知見に詳しい人材の教育が図られていれば、良いモノづくりと活動が可能になる。
コンバーティング加工と称されるコーティング・印刷・ラミネーティング・リワィンディングおよびスリッティングは、ロール原反から製品原反ロールへ連続生産(ロールto ロール)が行われていることから、各工程共に生産スタートから良い品質を作り込むことが大事で、不具合、生産ロス・ムダ、製品トラブルを低減させることが重要なポイントになっている。
・努力している割には、生産性、歩留が思うように向上しない。
・同じようなトラブル・不良がたびたび再発する。
・不良やトラブルを解決したいと思っていても、忘れたころに発生する。
これらは原因究明が正しい記録、正しい究明作業の基に最後まで行われず、曖昧な状態で終わるために、このような事態に陥るのである。
不具合の無い、ロスの少ない最終製品を得るためには、各工程共に生産スタート時から良品を作り込めば良いことになる。そのためには、
① 生産技術、製造技術および加工技術の仕組みと加工条件を、具体的に明確にして取り組む
② 決められたことを、決められた通り行い、立ち上がりをスムーズに行える力をつける
③ 当たり前のことを、当たり前に行い(三現主義、PDCA、不具合品を入れない・作らない・出さない)、事実と生の記録から、正しい技術の確立を図る
④ 作業技術の暗黙知から形式知化を進める
⑤ 現場作業者の製品良否判断能力を高める
⑥ 現場での作業、試作、試験および技術試験の成文化と共有化を図り、技術の蓄積を高める
などが挙げられる。
ここでモノづくりの技術・技能は、次の二つに分けられる。固有技術(各工程の加工能力と技能・コツ)と管理技術(生産効率・能率を上げる技術)である。技術を中心とする固有技術を先ず重きに置き、次に管理技術に進めることのできる体制が構築されると、良いものを、安く、早く作り上げることができ、モノづくりの安定した現場が生まれてくる。
本書ではコンバーターから見た主なラミネーティング方法、特にノンソルベント・ドライ・押出・共押出ラミネーティングを中心に、図をもとにやさしく述べ、スリッティングについても触れていく。また、そこに生じる主なトラブル及び対策についても解説する。
ここでの対策はいずれの機種および原材料全てに当てはまるとは考えていないが、実務から見た事例として参考にしていただければ幸いである。
本書の特徴
生産技術、製造技術および加工技術の仕組みと加工条件を、具体的に明記!
現場作業者の製品良否判断能力を高める!
目 次
目次一覧PDF1-1 サーマルラミネーション(thermal lamination)
1-2 ホットメルトラミネーション(hot melt lamination)
1-3 ノンソルベントラミネーション(non–solvent lamination)
1-4 ウエットラミネーション(wet lamination)
1-5 ドライラミネーション(dry lamination)
1-6 押出コーティング・ラミネーション(extrusion coating lamination)
1-7 共押出コーティング・ラミネーション(co-extrusion coating lamination)
1-8 各種ラミネート加工方法の主な生産ポイント
1-9 各種ラミネート加工方法の主なトラブルと対策
第2章 ラミネーティングはコンバーティング加工技術の中の一工程
2-1 ラミネーティング加工前後の加工技術の流れ
2-2 ラミネート加工工程前後でのおもなトラブル事例
第3章 ラミネーション装置と技術および問題点
3-1 ノンソルベントラミネーション(NS)の装置と技術および問題点
3-1-1 NSラミネーションの装置と基本構成
1)ラミネーターの各装置
3-1-2 基材と用途
3-1-3 NS用接着剤
3-1-4 NS加工上での問題点
3-1-5 NSラミネーションの流れと作業ポイント
3-1-6 NSラミネーションでの良品の作り込み
3-1-7 その他のポイント
1)当たり前のことを、当たり前に行う現場
2)歩留管理を最終歩留まりで管理する仕組みにする
3)工場トップおよび管理者が日頃の生産品質の実状が分かるシステムを構築する
4)現場作業技術、製造技術の文書化(暗黙知から形式知化へ)
3-1-8 ノンソルベント・ラミネート 工程におけるトラブルとその主な事例対策
3-2 ドライ・ラミネーション(DL)の装置と技術および問題点
3-2-1 ドライ・ラミネーションの装置と基本構成
1)ドライ・ラミネーターの主な基本構成
2)ドライ・ラミネーションのプロセス
3)ラミネーターの各装置
3-2-2 ドライ・ラミネート用接着剤
1)基材と接着剤
2)ドライ・ラミネート加工上での問題点
3-2-3 ドライ・ラミネート加工における主なトラブルと対策
1)ラミネート工程中(塗工部)の縦折れジワの発生
2)接着剤塗工部でのドクター筋とカスレの発生
3)ラミネート部でのシワおよび熱ジワの発生
4)巻取部でのトンネルとカールの発生
5)ラミネート原反の巻芯でのシワ不良の発生とその対策
3-2-4 ドライ・ラミネートの流れとモノづくりのポイント
3-2-5 ドライ・ラミネートションでの良品の作り込み
1)固有技術から次に管理技術へのシステム構築
2)管理技術に優れる人も生産のスタート立ち上げ技術、作業の流れを知る
3)不具合を入れない、作らない、出さない生産体制を築く
4)ロールtoロールの連続生産は、スタートで製品品質が決まる
5)その他のポイント
3-2-6 ドライ・ラミネート工程におけるトラブルとその事例対策
3-3 押出コーティング・ラミネーションの装置と技術および問題点
3-3-1 押出コーティング・ラミネーションの装置と基本構成
1)押出コーティング・ラミネーターの主な基本構成
2)押出コーティング・ラミネーションのプロセス
3)押出ラミネーターの各装置
3-3-2 押出コーティング・ラミネーション用樹脂
3-3-3 押出コーティング・ラミネーション用基材フィルム
3-3-4 押出コーティング・ラミネーションにおける基材との接着
1)基材と押出樹脂との相溶性
2)押出コーティング・ラミネーションでのAC剤の種類と選定
3)押出コーティング・ラミネーションでのオゾン処理効果
4)ノーアンカーコート(No-AC)押出コーティング加工の有効性
3-3-5 押出加工上での問題点
1)押出ラミネート製品の接着不良箇所
2)ACおよび樹脂層間の接着強度の経時変化
3)ダイ・ディッケル、ロットピンによる厚み偏肉・耳高調整
4)ダイ・ディッケルによる耳高調整
5)耳のトリミング
6)自動偏肉制御装置の機能と効果
7)押出ラミネートにおけるカール不良
8)工程内での印刷流れピッチの調整
9)押出ラミネートラインでのシワ不良の発生
10)押出ライン上での帯電防止効果
3-3-6 押出コーティング・ラミネーションの流れと作業ポイント
3-3-7 押出コーティング・ラミネーションでの良品の作り込み
1)現場での「モノづくり」の構築
2)スタート前の作業をどのように進め、コントロールする
3-3-8 押出工程におけるトラブルとその事例対策
3-3-9 基材とグラビアインキでのラミネートにおける接着のトラブル事例
3-4 共押出コーティング・ラミネーションの装置と技術および問題点
3-4-1 共押出コーティング・ラミネーションの装置と基本構成
1)共押出コーティング・ラミネーションの主な基本装置
2)T-ダイ共押出装置
3)共押出成形の特徴と主な加工例(利点と欠点)
3-4-2 共押出コーティング・ラミネーション用樹脂
1)共押出用樹脂
2)接着性樹脂
3-4-3 共押出コーティング・ラミネーション用基材フィルム
1)基材フィルム
2)共押出コーティング・ラミネーションの主な構成と特徴および用途
3-4-4 共押出での樹脂同士の接着性
1)樹脂間の接着性
2)樹脂と接着性樹脂
3)共押出樹脂層の偏肉・厚みコントロール
3-4-5 共押出コーティング・ラミネーション(シングル・ラミネーション)の流れと
モノづくりのポイント
3-4-6 共押出コーティング・ラミネーションでの良品の作り込み
1)誰が作っても同じものができる
2)品質はスタートおよび工程中に作り込む
3)やって良いこと、やってはいけないこと
3-4-7 共押出コーティング・ラミネーション工程におけるトラブルとその事例対策
第4章 スリッティング加工装置と技術および問題点
4-1 スリッティング加工装置と基本構成
1)装置と構成
4-2 フィルムスリット加工の問題点とその対策
4-3 フィルム・スリット加工での最適化とロス低減
4-4 スリット製品のロット管理方法の基本事例
4-5 スリット加工での留意点
第5章 ラミネーティングにおける接着の基本とトラブル
5-1 接着の発生
5-2 接着と粘着
5-3 接着力と凝集力
5-4 濡れの接着への影響
5-4-1 水の濡れ現象
5-4-2 濡れ状態と表面張力
5-4-3 液体の接触角と濡れ
5-4-4 濡れの紙の添加剤による影響
5-4-5 主な液体・固体の表面張力
5-5 アンカー・ファスナー効果
5-6 結合
5-7 ファンデル・ワールスの力
5-8 溶解度パラメーター(SP solubility parameter)
5-8-1 溶解度パラメーター
5-8-2 溶解度パラメーターの算出
5-9 溶融押出における吸着と拡散
5-10 接着剤の強さ、接着界面の強さ
5-10-1 接着剤の強さ
5-10-2 接着剤および材料の接着界面・層間の強さ
第6章 ラミネート製品の主な品質コントロール
6-1 ラミネート製品のカールコントロール
1)ノンソルベントラミネーション
2)ドライラミネーション
3)押出ラミネーション
6-2 ラミネートにおける異物混入の実際と対策
6-2-1 ラミネート加工における異物混入
1)ゴミの混入
2)虫の混入
3)捕虫器の設置
4)その他
5)異物混入とクレームの再発防止
6-3 耐内容物適性
6-4 シール方法とそのシーラント樹脂および特性
6-4-1 ヒートシール強度の測定と強度
6-5 ラミネート製品の加工日報、品質検査記録表の一例
6-6 生産加工における静電気の発生と帯電防止
6-7 静電気の発生と主な帯電防止方法
6-7-1 静電気の発生
6-7-2 主な帯電防止法
6-7-3 フィルム材料別帯電防止評価例
6-7-4 各工程での帯電防止方法の一例
6-7-5 各工程ラインでの除電装置設置の一例
第7章 コンバーティングで儲けるためのモノづくり
7-1 儲けるためのモノづくり
7-2 いくらやっても儲からない、どうしてか
7-3 ロールtoロール加工プロセスでの「モノづくり」
7-4 工程中に良い品質を作り込むために
7-5 多品種少量生産にどのように対応する(2,000、4,000 m)
7-6 ロールtoロール加工での現品管理の必要性
7-7 仕掛品・製品在庫の現状と削減
7-8 安価な製品と高額製品との生産方式
7-9 コンバーティングにおける生産技術管理と品質管理システム