化学品の市場調査、研究開発の支援、マーケット情報の出版

  ■ 発  刊:2022年10月20日
■ 定  価:55,000円(税込)
■ 体  裁:A4判 並製本 191頁
■ 編集発行:S&T出版
   ISBN 978-4-907002-94-7

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著 者

鈴木 康公( すずき やすひろ)
新保  實( しんぼ みのる) 金沢工業大学・名誉教授 工学博士,コンサルSMS(プラ成形技術コンサルト)

趣 旨

☆本書を読破し、内容を十分理解すれば、直ぐにでも発泡成形、中空成形、圧空成形の量産が開始できるようにしてある

今回活字にする事とした理由は、
1)発泡成形が注目される中、個々での発泡成形の技術説明を行ってきた中で、殆ど技術内容を知らない。
 ・気体を発泡剤として用いる発泡成形を「物理発泡」と称し、化学発泡剤を用いた発泡成形より優れていると思い込んで、誤認している方々が多く、
 ・本来「コア・バック」開発の経緯を知らずにコア・バックと言う何かしら新しい力(パワー)を持ち、別の新しい分野、部品へ展開が可能なように思われている方々、
 ・現在も気体の「超臨界状態」が、発泡成形には欠かせない内容と勘違いをし、思い込んでいる方々、
 ・ガス・カウンター・プレッシャーは、どこでも、誰でもが簡単にできる技術、単に金型に気体を入れるだけ・・・と思い込んでいる方々、
 ・化学発泡剤を用いた発泡成形品に塗装を施す場合、使用可能な化学発泡剤は何であるか・・・?その場合マスター・バッチに起因する塗装のトラブルの認識がない方々が多く、
 ・最近開かれたプラスチックの展示会(2021年秋)でも満足な発泡成形品を得る手段の実演がなされていない、
など発泡成形の将来が危ぶまれている中、その解決の手段として発泡成形に関して最終の量産の実施の形態を示した。

2)中空成形は1990年から毎週学会には論文が発表され、多くの材料メーカーが、多くの成形加工メーカーが各々の技術でのライセンス契約をしたが、現在は殆どが中止している。
 ところが中空成形は、反り・変形の少ない、寸法精度の高い成形品が、一般成形よりも小さな成形機で、然もハイサイクルでの生産が可能、成形品の重量も5重量%~10重量%程度の軽量化(材料費削減)が可能、このような成形品が誰でも簡単に、容易に得られる事のメリットは忘れ去られ、現在殆ど実施されていない。
 このように中空成形が間違った方向に誘導されてしまった理由は中空成形に用いるガス設備が余りにも陳腐で、トラブルが多かった事、ガスチャンネルと言う誤った技術が先走り、誤認された事などが衰退と中止の主たる理由で、このように誤認させた当時の技術担当者の責任は大きい。
 当時から中空成形の技術レベルを十分に精査し、分析して、その大きな技術的な価値を正しく評価し、多くのメーカーが採用していれば、大きな環境負荷の低減になったに間違いない。環境問題が注目される中、今一度中空成形の復活を考えてもよいのでは・・・と提案する。

3)コスト・ダウンを狙って成形品の薄肉化が進んでいるが、薄肉成形品のヒケを全く出さず、反り・変形なしに、寸法精度の高い成形品を、成形機のランク・ダウンして、ハイサイクルで、省エネルギーで実施できる手段が圧空成形で、射出成形加工(:保圧)の新しい手段(;ガス保圧)として提案する。将来このガスを用いた方法(圧空成形)が、射出の標準となる事は十分に考えられる。

4)環境問題、省エネルギー、樹脂の使用量削減、そしてプラスチック・リサイクルに対してはどこの企業でも大きなテーマとして取り上げられているが・・・、具体的な活動は見受けられない。省エネルギーは、樹脂の使用量削減の具体的な手段を、発泡成形、中空成形、圧空成形で示した。プラスチック・リサイクルの課題(色、物性、寸法)の技術的な解決の手段は具体的に説明した。将来回収された成形品を簡単に種別し、分別する為の、将来のリサイクルに向けての準備は今開始した方がよいと提案しておく。

鈴木康公
新保 實

目 次

目次一覧PDF
前書き。

各章の説明内容.

第1章 発泡成形の量産実施に向けての具体的な技法
1.発泡成形の量産実施に向けての具体的な技法 1/4
  ~物理、又は化学発泡剤の各々の特性と、発泡剤マスター・バッチ製造の手段と、発泡成形の量産実施~

<ポイント>固体の発泡剤に関する内容で、重曹、アゾ・ダイ・カルボン酸アミド(ADCA)に代表される化学発泡剤、中空気球を用いた物理発泡剤の持っている技術的な課題と、経済的な課題とそれ等を解決する手段を説明している。又新しい手段(:担持)での発泡剤マスター・バッチ製造の方法を説明している。

 1. 始めに
 2. 発泡性ガス=溶融樹脂に発泡性を付与する有用なガス
 3. 主たる固体の発泡剤
 4. 発泡成形に有用な性状が固体の化学発泡剤と物理発泡剤
  1) 炭酸ガスと、水蒸気を発生する化学物質=無機系の化学発泡剤
  2) 窒素ガスを発生する物質=有機系の化学発泡剤
  3) 中空気球を用いた発泡剤=有機系の物理発泡剤
  4) 化学反応を用いる手段
  5) その他の発泡剤に付いて=発泡剤の理解を深める目的で量産可能なモノと、原理だけのモノ
 5. 塗装適性=塗装を施す予定の発泡成形品に最適な発泡剤は?
 6. 市販の発泡剤マスター・バッチの問題点に付いて=キャリア・レジンの相容(溶)性
 7. 担持の手段で製造する発泡剤マスター・バッチ=誰でも簡単に製造できる発泡剤マスター・バッチ
  1) ABSなどの発泡剤マスター・バッチ製造の手段
  2) HIPS、変性PPO用発泡剤マスター・バッチ製造の手段
  3) PP用発泡剤マスター・バッチ製造の手段
  4) ポリアミド用発泡剤マスター・バッチ製造の手段
 8. 担持の手段での発泡剤マスター・バッチの量産の装置と方法
 9. 発泡剤マスター・バッチを用いた発泡成形量産実施の具体的な方法
  1) 量産実施に必要な設備
  2) 発泡剤マスター・バッチを用いる場合のコスト・インパクト
10. 最後に
11. 補足

2.発泡成形の量産実施に向けての具体的な技法 2/4
  ~物理発泡剤 ; 性状が気体と液体の発泡剤~

<ポイント>気体を用いた発泡成形には、限界があり、気体ではなく液体を用いた発泡成形の詳細な説明をしている。液体を発泡剤に用いることは、化学発泡剤の技術的、経済的な課題を一気に解決し、発泡成形の最終的な実施の形態である。

 1. 始めに
 2. 超臨界状態 {Super critical state(SCS)、又は Hyper critical state(HCS)} に付い
  1) 「超臨界状態」とは?何か
  2) 超臨界状態が発泡成形でそれ程重要ではない事の説明
 3. UCC(ユニオンカーバイド社)法
 4. 注入する発泡性ガスの圧力制御と容量制御
 5. ミューセルが拡大していない訳(理由 )
 6. 液体を用いた発泡成形
 7. 液体を発泡剤に使用する発泡成形
  1) 液体を発泡剤として用いる事の原理
  2) 気化性の物質を用いる場合=加熱筒内で気化させ、蒸気を発泡性ガスとする手段
  3) PC、及びPCを主成分とするポリマーアロイ、ポリマーブレンドの発泡成形
  4) 加熱筒内の熱で熱分解させ、発生するガスを発泡性ガスとして使用する手段
  5) 重曹水、炭酸水素カリウム水溶液などを用いる場合の注意点
  6) 2種以上の物質を接触させ化学反応させて発泡性ガスを発生させる手段
  7) 液体を用いた発泡成形に関係する法律など
  8) 発泡残渣
  9) 発泡セルに付いての解説
 10) 液体の注入装置
 11) 液体の注入口の形状
 12) 注入位置とスクリュー形状
 13) 液体の発泡剤に関しての補足
 8. 起泡核剤=発泡セルを微細化する手段
 9. 補足(吸熱発泡剤と、発熱発泡剤 )
10. 最後に

3. 発泡成形の量産実施に向けての具体的な技法 3/4
  ~発泡成形における問題点、外観不具合解決の手段( ガス・カウンター・プレッシャー法)~

<ポイント>発泡成形で問題となるスワール・マーク(発泡縞模様)をなくし、表面が平滑で綺麗なスキン層を持つ発泡構造体を得る唯一の手段であるガス・カウンター・プレッシャー(GCP)法を詳細に説明した。

 1. 始めに
 2. GCPとは?
 3. GCPの原理
 4. GCP実施可能な金型構造と圧気
  1) エジェクター機構をスペーサー・ブロックで囲い込みシールした金型構造(エジェクター・ボックス構造 )=簡単で確実なシール金型=然し大型の成形品には不向き
  2) エジェクター・ピン各々を荷重式Oリング(図22、写真22)でシールしたシール金型
  3) PLに設けたGCPのガス回路=キャビティ内への主な圧気の回路(L2)
  4) GCP実施の為の金型のPLの最適な形状
  5) 入子、エジェクター・ピンの構造など
  6) スライドコアと、傾斜ピン
  7) GCPの圧気・排気の回路(L1、L3、L2)
  8) 急速排気弁
 5. GCP装置など
  1) 1段排気(抜き)と多段排気
  2) スキン層が形成される理由
  3) その他
 6. 装置、及び部品などの購入先、技術の問い合わせ先など
 7. 最後に

4.発泡成形の量産実施に向けての具体的な技法 4/4
  ~発泡倍率を高め、軽量化実施の具体的な手段;モールド・バックとコア・バック~

<ポイント>発泡倍率を高める手段のモールド・バックと、コア・バックとの実施の具体的な手段と、GCPを付加することで、発生するGCP特有の不具合であるレイン・ドロップ現象を解決する手段を説明した。

 1. 始めに
 2. 発泡倍率を高める手段
  1) USM法とTAF法
  2) 発泡倍率を高める手段=モールド・バックとコア・バック
 3. レイン・ドロップ現象{写真25(B)参照}に付いて=GCP特有の問題
 4. レイン・ドロップを回避する手段、然し微細なシボは今は必要
 5. PLを強制的に精度よく開ける手段
 6. 発泡を容易にする手段
 7. 成形条件
  1) 可塑化の手段=発泡性の付与
 8. 射出工程
 9. 型締力
10. ホット・ランナー
11. 成形機の動作
  1) 気体、又は液体の注入に付いて
12. GCP装置に付いて
13. 発泡剤の添加量
14. 実施例、及び実施形態
15. 物性
16. 発泡成形の現状
17. その他の発泡成形に付いて(参考)
  1) 樹脂に発泡性を付与する手段
  2) 発泡を容易にする手段
  3) 発泡成形でスワール・マークをなくし、表面を綺麗にする手段
  4) その他の発泡成形法
18. 発泡成形において残された課題など
  1) 天肉より厚いリブを持つ発泡成形品=障子のように太いリブ構造を持つ成形品{障子紙(薄い天肉)と桟(太いリブ)}
  2) エステル系樹脂の発泡成形
19. 最後に

第2章 中空成形と圧空成形との量産実施に向けての具体的な技法
~成形品内部から加圧する中空成形と、外部から加圧する圧空成形~

<ポイント>中空成形と、圧空成形の量産実施に向けての詳細な内容が記載されている。特に圧空成形は発泡成形、中空成形以上に適用される成形品の領域拡大が期待される手段である。

 1. 始めに(中空成形)
 2. 中空成形とは?
  1) ノズルからのガス注入
  2) ランナーからのガス注入
  3) 成形品への直接のガス注入
 3. 中空成形の歴史的な背景
  1) 中空成形技術の始まり=シンプレス技術
  2) 独国での中空成形技術
  3) 米国での中空成形技術
  4) その他の中空成形技術
 4. 注入ガスの容量制御と、圧力制御
  1) 容量制御方式
  2) 圧力制御方式
  3) 容量制御と圧力制御の圧力プロファイル
 5. ショート・ショットでのガス注入と、フル・ショット後のガス注入
 6. ガス注入の場所による作用・効果の違い
  1) ノズルからのガス注入
  2) ランナーからのガス注入
  3) 成形品への直接のガス注入(キャビティ注入)
 7. 中空成形用のノズル
 8. ホットランナー
 9. 中空成形の量産実施に最適な金型構造
10. 中空成形実施に向けての具体的な手段/成形機の動きなど
  1) モード1(射出途中でのガス注入)
  2) モード2(射出完了後のガス注入)
  3) モード3(キャビティ内に充填された溶融樹脂の充填圧力を下げてからのガス注入)
11. 中空成形に適する樹脂と形状
12. ガスチャンネル(図69)
13. アウター・ランナーとインナー・ランナー.
14. 成形サイクルを向上させる手段
15. 中空部を形成させる理由⇒冷却時間の短縮
16. 中空部を形成させる理由⇒均一なガスによる加圧
17. 中空成形の外観
18. 中空率を大きくする手段
19. 新日鐵化学(株)の成形法PFP(特願平5-136193, 特願平6-122755)の解説
  1) PFP成形法の原理
  2) PFP成形法の応用
20. 最後に(中空成形)
21. 中空成形量産品の写真
22. 始めに(圧空成形)
23. 圧空成形とは?
24. 圧空成形の原理
25. 圧空成形の実施に必要な設備
26. 圧空成形に最適な金型構造
27. ガス加圧ピン
  1) ガス加圧ピンは溶融樹脂表面と接する場合の最適形状。⇒中空とならない工夫(a)
  2) ガス加圧ピンの最良な形状
  3) 中空とならない工夫(b)=シボ加工
28. 圧空成形実施に向けての具体的な手段/成形機の動きなど
29. ガス加圧面に付いて
30. 中空成形、圧空成形に用いる装置
31. 圧空成形の作用・効果
32. 最後に(圧空成形 )
33. ガスを用いた成形(発泡・中空・圧空)法の経済性のケース・スタディ
34. 成形収縮率と金型費=金型費削減の手段
35. 各成形法の潜在市場を含む市場規模
36. 補足(市場規模)
37. 成形法の各々の関係は?
38. 各成形法実施可能な板厚の範囲
39. 各成形法実施可能な樹脂の種類、及び表面のシボの有無の関係
40. TRY回数の低減が可能な金型の加工法
41. 金型寸法と成形品寸法の1対1の対応
42. 射出成形機に要求される仕様など
43. Vim (Virtual injection mold) technology
  1) 流動性の確認試験
  2) キャビティ内へ充填した樹脂の圧力の重なり確認の思考実験⇒ゲート位置の決定
  3) 実際にCAEを用いたゲート位置の有効性の確認
44. 成形加工法を用いた樹脂拡販のビジネス・モデル
  1) 竜舞プラスチック(株)と発泡成形
  2) 竜舞プラスチック(株)と中空成形
  3) 竜舞プラスチック(株)と圧空成形
45. 最後
46. 参考文献
47. 引用文献

第3章 プラスチック・リサイクルの課題3+1+1解決の手段
~将来への環境投資=樹脂に関る者としての義務~

<ポイント>以前、前職で調査・開発した、プラスチック・リサイクルに係る課題(色、物性、寸法)解決の手段と、今後リサイクルを行うに当たり、必要な仕分け等の方法を示した。

 1. 始めに
 2. プラスチック・リサイクル
 3. 色の再生=色のリサイクル
  1) 同材質で同色の成形品を集め再生する手段
  2) 様々な色の成形品を集め再生する手段
  3) 塗料を用いた2層成形法=成形用樹脂を用い製造したプラスチック用塗料の例
  4) 相溶性と相容性
  5) ABS、HIPS共に相容性を示す樹脂
  6) ABS、HIPSに使用可能な塗料
  7) 色の再生各々の手段での経済性
 4. 物性の回復、又は維持
  1) 物性回復の手段
  2) その他の樹脂の熱安定(リサイクル)性の評価結
  3) 他社のAES、AASの熱安定性の比較試験
  4) EPDMを用いた他のスチレン系樹脂
 5. 寸法の再現
 6. 仕分け=簡単な仕分けの手段構築が必要
  1) 現在の表示ではリサイクルは困難
  2) リサイクルが困難な理由
  3) 簡単な仕分けの手段の構築⇒将来のリサイクル実施の為の準備
 7. 具体的なリサイクルの手段⇒下位の再生、等価再生、上位再生
  1) 効果的な洗浄の方法
  2) 発泡スチロール減容の手段
  3) 等価再生(ABS,HIPS)の具体的な例
  4) 上位再生の例
  5) PP成形品の再生(等価再生)
  6) 発泡成形品の再生
 8. 成形品回収の手段
  1) リサイクル予定の成形品の返送
  2) 粉砕して減容化
 9. 最後に
10. 参考文献

後書き。お礼。

付録 : 特許出願の手段に付いて