化学品の市場調査、研究開発の支援、マーケット情報の出版

☆☆☆ Web配信セミナー ☆☆☆
☆☆☆ 本セミナーは、Zoom/ウェビナーを使用して、行います。☆☆☆

トリケップスセミナー

 開催日時:2022年1月27日(木)13:00~17:00
 参 加 費:お1人様受講の場合 50,600円(税込/1名)
     1口(1社3名まで受講可能)でお申し込みの場合 61,600円(税込/1口)

 ★ 本セミナーの受講にあたっての推奨環境は「Zoom」に依存しますので、ご自分の環境が対応しているか、お申込み前にZoomのテストミーティング(http://zoom.us/test)にアクセスできることをご確認下さい。

 ★インターネット経由でのライブ中継ため、回線状態などにより、画像や音声が乱れる場合があります。講義の中断、さらには、再接続後の再開もありますが、予めご了承ください。

 ★受講中の録音・撮影等は固くお断りいたします。

講 師

赤井直紀(あかいなおき)氏
名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻  助教(博士(工学))

<略歴>
 2016年、宇都宮大学大学院 工学研究科 博士後期課程修了.
 2016年より、名古屋大学 未来社会創造機構 特任助教.
 2019年より、名古屋大学大学院 情報学研究科 特任助教.
 2020年より、名古屋大学大学院工学研究科助教.
  現在に至る.
 ロボットや自動車の自動走行,特に自己位置推定に関する研究に従事.

セミナーの概要

 自己位置推定とは、与えられた地図の上における相対的な位置を求める技術です。これだけ聞くと自動運転との関わりが強くない様に聞こえますが、現状の自動運転においては、自己位置推定は最も重要な根幹技術となっています。
 本講演では、自己位置推定の重要性や、正しく実行することの困難さといった基礎的な話から、デファクトとなっている確率ロボティクスの話、また講師が行っている最新の話まで含めて言及します。
  
<セミナーポイント>
 ・なぜ自己位置推定が自動運転において重要なのか? … 自己位置推定なぜ自動運転に必要なのか?という疑問をお持ちの方は多くいると思います。自己位置推定がどれだけ重要かといった解説を行います。
 ・なぜ自己位置推定は失敗するのか? … 自動走行に関わったことがある方なら、自己位置推定に失敗するシーンに出くわしたことがあると思います。なぜ失敗するかを理解するには「観測モデル」を理解する必要があります。本公演では、観測モデルの成り立ちやその限界に関して解説します。
 ・どの様に自己位置推定が発展できるか? … 動的な環境でも失敗しない自己位置推定や、安全性を保証する自己位置推定など、講師が最近を行っている研究も踏まえ、先端的な内容の解説も行います。
  
<講義後得られる情報・知見>
 ・自己位置推定の重要性 … 講師自身もそうですが、研究紹介をする際には、自己位置推定が自動運転において重要ということを理解してもらうことがまず難しいとよく感じます。「人間は自己位置なんて推定していない」と良くいわれます。講師は基本的に「オンラインで必要な情報を全て認識できる機能があれば自己位置推定は不要。ただしその様な機能を実現することは、現状の技術ではほぼ不可能」と答えています。なぜそう答えるのかという理由を知ると、自己位置推定の重要性をうまく説明できる様になると思っています。
 ・自己位置が抱える根本的な問題 … 自己位置推定は根本的に動的な環境ではその性能を保証できないという課題を抱えています。これには「観測の独立性の仮定」というものが大きく関わっています。自己位置推定を語る時に、観測の独立性を語る人は多くないと思います。しかし講師は、観測の独立性の仮定こそが自己位置が抱える問題の根本にあると考えています。さらに厄介なことは、観測の独立性の仮定を導入しないとそもそも自己位置推定が行えないという問題があるのです。こういった根本的な問題に対しての知見も得ることができます。
 ・自己位置推定のできないをできるように … 講師が最近行っている研究では「自己位置推定を高度化する」という目的を掲げています。これは単に推定精度を向上させるや、頑健性を向上させるというではなく、上述する様な自己位置推定が抱える問題を解決する様な試みになります。観測の独立性の仮定が引き起こす問題点を理解した上で、それがどの様な問題を引き起こすか、そしてそれをどの様に解決していくか、という最新の知見も得ることができます。

講義項目

 1 自己位置推定の基本的な話
  1.1 自己位置推定とは何か
  1.2 なぜ自動運転に自己位置推定が重要か
  1.3 自己位置推定のあるなしの自動運転
  
 2 自己位置推定およびSLAMの発展の話
  2.1 ICPとMCLが自己位置推定の基本
  2.2 ベイズフィルタSLAMとグラフSLAM
  2.3 自己位置推定と機械学習(最近の研究動向)
  
 3 自己位置推定の定式化
  3.1 グラフィカルモデルからの定式化
  3.2 ベイズフィルタと呼ばれる所以の理解
  3.3 ベイズフィルタと最適化の違い
  
 4 観測モデル
  4.1 ビームモデルと尤度場モデル
  4.2 なぜ動的環境で自己位置が失敗するかの理解
  4.3 観測の独立性の仮定の重要性とそれが引き起こす問題
  
 5 パーティクルフィルタを用いた自己位置推定
  5.1 パーティクルフィルタを用いた自己位置推定(MCL)の理解
  5.2 MCLにおける実装の工夫
  5.3 MCLと深層学習の融合による推定失敗からの即座復帰
  
 6 動的環境下での自己位置推定
  6.1 観測物体のクラスを考慮した自己位置推定
  6.2 環境変化に対する頑健性の向上
  6.3 計算・メモリコストの増大しない頑健性の向上
  
 7 自己位置推定結果の性能保証
  7.1 信頼度付き自己位置推定
  7.2 深層学習を用いた自己位置推定の失敗検出
  7.3 深層学習の不確かさも考慮したモデル化
  7.4 自己位置推定結果の正誤を正しく理解
  
 8 まとめ