化学品の市場調査、研究開発の支援、マーケット情報の出版

~ 開発初期/パイロット試作/商用生産/生産開始後など、スケールごとの失敗事例から対策を学べる ~
失敗事例から得られた知見をもとにスケールダウン実験の考え方、実験方法についても解説!

R&D支援センターセミナー

       開催日時:2020年1月21日(火)12:30~16:30
       会  場:江東区産業会館 第2会議室  → 会場へのアクセス 
       参 加 費:49,500円(税込、資料付)

講 師

 ㈱三和ケミファ 医薬品事業部 統括本部長 薬学博士  丸橋 和夫 氏

【ご専門】
 有機化学、医薬品化学、プロセス化学

【ご略歴】
 1979年 和光純薬工業㈱ 入社、東京研究所 主席研究員
 1983年 薬学博士 (岐阜薬科大学)
 1991年 大鵬薬品工業㈱ 入社、工業化技術研究所・所長、合成技術研究所・所長
 2007年 三菱商事㈱ 入社、先端化学品本部・技術顧問
      (兼) 常熟力菱精細化工有限公司 (中国・常熟市) ・研開部本部長
 2008年 ㈱エースジャパン入社 常務取締役 山形工場長
 2015年 ㈱三和ケミファ入社
 2016年 個人事業主登録、数社のアドバイザー業務も兼務、現在に至る。
 約40年一貫して医薬品原薬、治験用原薬、中間体の商用生産
 (小スケールからスケールアップ製造) にかかわる業務を担当。
 この間、医薬品製造管理者、治験薬品質管理者 (原薬) 、米国FDAの査察対応、
 IND申請、DMF登録、MF登録、国内外の委託先の監査等品質保証、CMC関連業務も経験。

定 員

 30名

趣 旨

 原薬のスケールアップ製造は医薬品の開発では絶対に避けられない部分である。前臨床試験、臨床試験、商用製造開始、商用製造開始後の各ステージでのスケールアップ製造のポイント(考え方)を実際に経験した例(失敗例)を参考に説明し、更にどのように対処、解決したかも説明する。そこから得られた知見をもとにスケールダウン実験の考え方、実験方法についても説明する。

プログラム

 1.医薬品(原薬)の開発とスケールアップ(基本的な考え方)

 2.実験室スケールとスケールアップの相違点
  -小スケールとスケールアップのパラメータの比較と考え方、設定法

 3.スケールアップ実験するためのチェックポイント、考え方
  -原料、中間体の評価項目(安全性、安定性、結晶多形、溶媒和他)とその対応策

 4.スケールアップを想定した実験法(スケールダウン実験)
  -具体例をもとに

 5.スケールアップとコスト・時間の考え方
  5.1 反応条件とプロセスの関係
    (事例)5日近くかかるプロセス(反応→抽出→濃縮→晶析→乾燥)を2日に短縮。
  5.2 事例から考えられる操作簡略化、時間短縮の応用例
  5.3 プロセスを元に設備設計、設備を元にプロセス設計 (考え方)

 6.スケールアップでの失敗例(実際の経験から)と対応策
  6.1 開発初期(実験室~10Lスケール)の失敗事例 
   6.1.1 転位反応:
       1gから10gにスケールアップしたら
         転位反応が原因で目的物が得られなくなった。
   6.1.2 中間体の安定性(ビタミンC硫酸エステル誘導体の製造):
       1gスケールでは目的物が合成できたが、
         10gスケールでは合成不可の結果となった。
   6.1.3 目的物の安定性(ピリジン・無水硫酸錯体):
       目的物が得られないのは吸湿性が原因と判断したが、
       逆に吸湿性を利用することで大量生産可能な方法に至った。
   6.1.4 ジェネリック原薬用中間体の製法検討:
       文献を参考に実験を進めたが目的物は得られず、実験結果に基づいて
       検討を進めたところ、簡単な製法にたどり着いた。
   6.1.5 抗生物質の側鎖の製造:
       新合成法を考案し、特許出願。製造開始直前に中間体に安全性の問題
       (蓄熱性試験)あることがわかり、検討中止。
   6.1.6 アルキルホルムイミデート類の合成(カルバペネム系抗生物質側鎖):
       青酸ガスを使用しなければならなくなった
   6.1.7 カラム分離工程の回避:
       前臨床試験に進むことが決まり、カラム分離工程回避の必要性が出てきた。
   6.1.8 爆発性中間体の回避(抗生物質側鎖):
       メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして、
       中間体の物性を比較。合理的な合成法に至った。
  6.2 パイロット試作(200~500Lスケール)での失敗事例(設備、時間)
   6.2.1 目的物の安定性(抗生物質側鎖:アミノチアジアゾール誘導体の製造):
       設備の性能を安易に考えてオーバー反応してしまった。
   6.2.2 中間体の安定性確認(塩酸ペンタゾシンの中間体の製造):
       スケールアップして中間体を大量合成したら分解してしまった。
   6.2.3 目的物が異性化(抗生物質側鎖:アミノチアゾール酢酸誘導体の製造):
       再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
   6.2.4 臭素の取り扱い(臭素化プロセスのスケールアップ):
       パイロットにスケールアップしたところ、反応開始を確認できず、
       大きなトラブルに陥りそうになった。対処法を検討した結果、
       合理的かつ安全なプロセス開発に至った。
   6.2.5 撹拌速度の影響(アセトン/炭酸カリウム系でのアルキル化反応):
       不均一反応の代表的な例、対応策、応用例。
  6.3 パイロットから商用生産(2000Lスケール以上)での失敗事例(設備、原料、生産)
   6.3.1 PhaseⅢ試験後の製法変更:
       爆発性の中間体を経由するためスケールアップ製造できず
       PhaseⅢ試験が終わってしまった。
   6.3.2 目標規格の原料が手に入らない:
       商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
   6.3.4 設備変更して反応の本来の姿がわかった:
       パイロットまでGL、商用生産でSUSに切り替えたところ錆が発生。
   6.3.5 アミノチアゾール酢酸製造のスケールアップ:
       パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
   6.3.6 キャンペーン生産:
       スポット生産では問題なかったエステル交換反応を、
       キャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
   6.3.7 残留溶媒の規格:
       商用生産に移行しようとしたら残留溶媒の問題発生。
   6.3.8 結晶多形の同等性:
       外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
   6.3.9 出発原料の製法に伴う問題(製法に伴う異性体混入の可能性)
  6.4 商用生産開始後の失敗事例(2000~5000L以上)
   6.4.1 収量低下の逸脱:
       原料の溶解時間の影響
   6.4.2 原料の純度アップ:
       高純度品の原料に切り替えた途端に逸脱発生
   6.4.3 乾燥時間の管理:
       順調に商用生産がスタートしたが、
       製品の乾燥時間が突然2倍(10時間→20時間)になった。

 7.その他、質疑応答