― 種類、特徴、選び方、使い方、性能評価、表示方法 ―
■ 発 刊:2016年9月9日 ■ 定 価:44,000円(税込) ■ 体 裁:B5版 並製本 266頁 ■ 発 行:R&D支援センター ISBN 978-4-905507-14-7 |
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著 者
関西大学 特別任用教授 工学博士 冨岡敏一 氏 <元 松下電器産業㈱ 本社技術部門>
発刊にあたって
この解説書は、学問体系として、生物学的には微生物制御と、工学的には材料工学とに該当し、それらの境界領域の知識と経験を解り易く解説するものである。抗菌・抗カビ・抗ウイルス剤について説明するに際して、まず細菌・真菌(カビ)・ウイルスに関する基礎知識を理解して頂こうと考えている。微生物制御を説明する前に微生物学のイントロ/入門部分の説明から始めるのは、敵を落とすには敵を知る必要があるとの考え方である。微生物はそれぞれ性質があるので、その裏をかけば生育を損なわせることができる。 <中略>
抗菌剤は従来、農薬関連、医療用薬剤として専門家(農水省、厚労省管掌)に利用されてきた。上述の現象を防止するためには、微生物の専門家だけが熟知するだけではなく、抗菌処理を行う技術者はもちろんのこと、抗菌製品の発売を企画する人、抗菌製品を取り扱う流通に携わる人など、社会的にも抗菌に対する知識を持つことが要求されている。
一般製品に当たり前のように応用されている抗菌処理(経産省関連)に対し、2000年には経産省主導で抗菌のガイドラインが発表されている。その中で、我々の生活に清潔性が必要なものにのみ抗菌処理を適用させ、消費者に抗菌製品の適切な使用方法を表示すると共に、安心して抗菌製品を選択するための情報開示を製造業者に義務付けている。
本書では、清潔性を演出するために必要な加工処理方法や、化学的薬剤を用いず対象微生物の性質を逆手に取った物理的な除菌技術の導入についても幅広く説明する。
<「はじめに」より>
目 次
目次一覧PDF第1章 抗菌・抗カビ・抗ウイルス剤基礎編
1.微生物を知る
1.1 微生物とくらし
1.2 微生物の種類
1.2.1 カビ・酵母
1.2.2 細菌
1)形状
2)大きさ
3)構造
4)グラム染色
5)酸素要求性
6)増殖
1.2.3 ウイルス
2.微生物制御
2.1 栄養素
2.2 温度
2.3 pH
2.4 酸素
2.5 酸化還元電位
2.6 水分活性
3.抗菌機作
3.1 化学薬剤の抗菌メカニズム
3.2 薬剤効果と対象微生物
3.3 薬剤の相乗効果
第2章 抗菌剤・抗カビ剤・抗ウイルス剤の選び方編
1.抗菌剤・抗カビ剤・抗ウイルス剤の種類と特性
1.1 抗菌剤の種類
1)抗菌化合物種類の変遷
2)抗菌化合物用途の変遷
3)抗菌剤の選び方
1.1.1 無機酸化物担体と抗菌成分
1.1.2 銀系抗菌剤
1)銀イオン製剤化技術
2)銀系抗菌剤の抗菌性能
3)銀系抗菌剤の安全性
4)銀イオンの抗菌性メカニズム
1.1.3 有機系薬剤
1.1.4 天然系薬剤
1)キトサン
2)カテキン
3)ワサビ精油
4)ヒノキチオール
5)その他
1.1.5 光触媒系薬剤
1)原理
2)酸化チタン系光触媒反応の特徴
3)抗菌効果
4)脱臭効果
5)酸化チタン系光触媒の主な用途
6) 将来展望
1.2 防カビ剤
1.3 その他抗菌成分
1.3.1 金属系
1)Cu 添加抗菌ステンレス
2)Ag 添加抗菌ステンレス
3)抗菌銅
1.3.2 表面処理系
1)抗菌メッキ
2)抗菌アルマイト
1.4 抗ウイルス成分
1.4.1 ウイルスの失活
1.4.2 抗ウイルス性能
2.物理的除菌技術
2.1 埃と環境
2.2 物理的抗菌
2.2.1 加熱殺菌
2.2.2 紫外線照射
2.2.3 電場除菌
1)電場除菌原理
2)電場除菌性能
3)電場除菌応用事例
2.2.4 放電処理技術
1)放電処理技術応用事例①
2)放電処理技術応用事例②
3)放電処理技術応用事例③
第3章 抗菌剤・抗カビ剤・抗ウイルス剤の使い方編
1.抗菌表面処理
1.1 抗菌成分の分散技術
1.2 塗装処理
1.3 応用技術と実例
1)塗装加工実例①
2)塗装加工実例②
3)塗装加工実例③
2.抗菌樹脂混練技術
2.1 熱可塑性樹脂への混練技術
2.1.1 熱可塑性抗菌樹脂製造工程
1)混練工程
2)成型工程
2.1.2 抗菌性能とマイグレーション
2.1.3 製造工程での課題例(抗菌性能を発揮させる技術)
1)抗菌性能を発揮させる技術
2)抗菌剤の樹脂混練技術における配慮するべき特性
2.2 反応硬化性樹脂への混練技術
2.3.1 抗菌成分組成の改良事例
1)TGA-DTA 分析
2)X線回折分析法
3)表面色調測定
4)抗菌性能測定
2.3.2 抗菌剤担体構造の改良事例
2.3.3 抗菌剤被覆材料の改良事例
2.3.4 混練成型加工技術による改良事例
2.3.5 応用実例
1)抗菌製品への要求課題と解決実例
第4章 抗菌剤・抗カビ剤・抗ウイルス剤の示し方編
1.性能評価法
1.1 抗菌・抗カビ評価方法
1) 菌数評価
2) 抗菌剤の効力試験法
3)抗菌製品の評価法
4)抗カビ評価
1.2 JIS(日本工業規格)
1.2.1 抗菌加工製品評価試験の実際
1)評価試験に用いる設備
2)評価試験に用いる代表的な培地等組成
3)抗菌評価試験手順
1.2.2 繊維製品評価試験の実際
1)ハロー法
2)菌液吸収法
3)トランスファー法
4)菌転写法
1.2.3 光触媒加工製品評価試験の実際
1.2.4 防カビ性評価試験の実際
1) JIS Z 2911
2) JIS L 1921
1.3 副次効果(臭気防止)
1.3.1 悪臭と菌数
1.3.2 抗菌性能と防臭
1.3.3 銀系抗菌剤と悪臭防止
1.4 抗ウイルス評価方法
1.4.1 抗ウイルス性評価実験方法事例
1.4.2 抗ウイルス性評価事例
1.4.3 抗ウイルス製品評価事例
1.5 持続性評価方法
1.5.1 耐水性試験
1.5.2 耐光性試験
1.6 安全性評価方法
1.6.1 急性毒性試験
1.6.2 皮膚一次刺激性試験
1.6.3 変異原性試験
1.6.4 皮膚感作性試験
1.6.5 その他の安全性試験
1.7 抗菌製品開発における評価と分担
1.8 抗菌評価関連知識と技術の向上・更新
2.抗菌性能の表示法
2.1 試験事業者認定制度(JNLA)
2.2 各分野国内工業会
2.2.1 繊維評価技術協議会(繊技協:JTETC)
2.2.2 光触媒工業会(PIAJ)
2.2.3 日本建材・住宅設備産業協会(建産協)
1)抗菌性試験方法
2)抗菌性能持続試験
2-1)水浸漬試験
2-2)耐光試験
2-3)耐洗剤試験
3)安全性試験
4)用語の定義と使用基準表示
4-1)表示
4-2)表示対象
4-3)表示項目
5)使用登録手続
6)品質管理
7)実施状況の管理およびフォロー
2.2.4 日本塗料工業会
1)対象製品
2)抗菌の定義
3)抗菌試験方法
4)抗菌効果判定基準
5)試験塗板の種類(持続性)
6)試験機関の条件
7)安全性
2.2.5 日本衛生材料工業連合会(日衛連:JHPIA)
1)抗菌自主基準
1-1)製品の抗菌性能基準
1-1a)使用中の抗菌効果を意図する製品の抗菌性能試験・基準
1-1b)使用前の抗菌効果を意図する製品の抗菌性能試験・基準
1-2)製品の安全性基準
1-3)表示基準
1-4)抗菌の副次効果等の表示
2) 除菌自主基準
2-1) 除菌の定義
2-2) 除菌性能試験方法
2-3)製品の除菌性能基準
2-4) 製品の安全性基準
2-5) 表示
2.3 公正取引協議会
2.3.1 全国公正取引協議会連合会
2.3.2 全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)
2.3.3 洗剤・石けん公正取引協議会
1)洗濯用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
2)スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
3)住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
2.4 抗菌製品技術協議会(抗技協:SIAA)
2.5 グローバル展開
2.5.1 抗菌JIS から抗菌ISO へ
1)抗菌プラスチック製品ISO 22196
2)抗菌加工繊維製品ISO 20743
3)抗カビ・抗ウイルスのISO
4)光触媒系抗菌剤のISO
2.5.2 欧州における抗菌
1)BPD(バイオサイド指令:Directive 98/8/EC)
2)BPR(バイオサイド製品規則)
2.5.3 中国における抗菌
1)抗菌家電製品(GB21551.1:2008)
2)抗菌プラスチック製品(QB/T2591:2003)
3)抗菌ニット製品(FZ/T73023:2006)
4)抗菌タオル製品(FZ/T 62015:2009)
5)抗菌繊維製品の安全性規格(GB/T 31713:2015)
2.5.4 韓国における抗菌
2.5.5 米国における抗菌
1)FIFRA による規制への対応
2)FFDCA による規制への対応
3)FQPA による規制への対応
4)抗菌剤に対する最近のEPA の動き
5)抗菌製品の米国対応
まとめ
引用文献